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被ばく

CT被曝、医療施設によって10倍以上

検査のための被ばく

内臓や脳などの様子をより分かりやすく立体的に映しだすことができるコンピューター断層撮影法、通称CTは、「被ばく」というデメリットがあります。
CTといえば「痛くない検査」の代表的な存在です。
最近では、造影剤など必要なしでの撮影などどんどん進化しています。

こういった撮影は看護師が行える施術ではありません。
レントゲン関係は全く関係なし。
検査室への案内はするかもしれませんが、撮影は放射線技師が行います。

実はこのCTによる被ばく、医療施設間で10倍以上もの差があるといわれています。
それは同じ部位の検査であっても10倍以上もの差が出るのです。

日本診療放射線技師会による調査で判明しましたが、一部施設では必要以上に患者が被ばくしている可能性がありました。
国内の関係学会を集めた情報ネットワークでは、考案をまとめたそうです。

CT撮影は、装置が体の周りをぐるっと回ってX線を照射します。
一方向だけからの単純な撮影に比べると、かなり被ばく量は多いです。
医療検査による被ばく量の、全体の40パーセントをしめています。

調査結果で判明した事実

患者さんが被ばくするX線量を示すCT線量指標は、成人の頭部で12から150ほど。
胸部では1.6から128。
腹部骨盤あたりでは0.9から40と、同部位の検査であっても施設によってかなりの差があります。

照射範囲を考え、全身への影響を示す線量を計算すると、最高では頭部約5ミリシーベルトと推定されています。
施設間のこの大きな差が、調査によって判明しました。

しかも、必要以上に高い線量に設定し、見直していない施設も多々あるようです。
放射線量がこれだけ差があるなんて、驚きですね。
しかもそれを患者様の大半が把握できていない状態でしょう。

福島原発の事故では、多くの方が「被ばく」の影響に不安を感じていたことでしょう。
ある病院でもこんな出来事が。

被ばくに対して不安を募らせ、「レントゲン撮影でも被ばくで健康被害が出ているのではないか」「これまで受けたレントゲン撮影の被ばく量を教えろ」と病院に詰め寄った患者様がいらっしゃるそうです。
医療被曝はかなり昔から問題視されていましたが、やはり被ばくが身近なものになると、誰でも不安になるものです。

看護師の立場からすると、知識は多少なりともありますが、実際に撮影を行っている身ではありませんからどうしても客観的な返答しかできません。
被ばくによる健康被害は多々症状があります。
その症状がある場合は危険ですが、患者の皆様には楽観視せずにひとりひとりが真剣に考えてほしい出来事だと思います。

たとえば、出血や感染が見られるケース。
意識障害などの重い症状からめまいふらつきなどの軽い症状もあります。
各施設が高い線量の設定を見直し、患者様にも注意を呼びかける、そういったことも必要なのかと思います。

カルテの開示

カルテの開示、場合に応じて

医療事故が起こったらどうする?

皆さんの周りでは、医療事故が起こったことがありますか?
医療事故など、医療界ではあってはならない出来事ですが、仕方がなく起こってしまうものがあったり、予期せぬ事態が起こることだってあります。

そこで、患者の皆さまや患者のご家族の方が、どう対処すべきなのか?
医療事故=訴訟うんぬんの話になってしまいます。
そこで重要な存在が「カルテ」です。

患者にどういった治療を施したのか?
どういった薬を処方したのか。

医者や看護師が行った治療がすべて記載されている、個人情報の一つです。
このカルテを、「開示することができる」という権利を、患者の皆さんの中には知らない方も多いのです。

医療事故が起こったら、まずはカルテ開示を求め、「セカンド・オピニオン」と呼ばれる「他の医師の話を聞く」ということをします。
ちょっと良いイメージは持てないかもしれませんが、セカンド・オピニオンを行うことによって医療事故をしっかり解明できるのです。

カルテ開示は悪いことではない

場合に応じてカルテを開示しなければいけない。
そんな医療機関の義務を患者が把握できていない状況がニュースに取り上げられています。

カルテ開示によって、治療内容や治療の方針がわかればとてもメリットです。
医療事故が起こっている、起こっていないにしろどちらでもカルテ開示はメリットが多いといえます。

カルテの開示やセカンド・オピニオンに対して、否定的な医師もたくさんいます。
患者は、主治医の機嫌を損ねてしまう行為だと認知している方も多いでしょう。

全くそんなことはありませんよ。
カルテ開示で機嫌を悪くする医師など、ただの怠慢医師です。
決して悪いことではないということを理解して頂きたいと思っています。

どうやって普及していくか

ある調査結果によると、カルテ開示の義務があることを知らないと答えた患者は42パーセントにものぼっています。
開示を要求したことがあると答えたのはわずか6パーセントほど。

これは患者が持つ権利なのですから、開示することでデメリットが起こる、なんてことがあってはいけないのです。
セカンド・オピニオンは常識でなければいけないのです。
どうやって普及していくかが今後の課題です。

やはり単刀直入にいえば、看護師、または医師が直接患者様に対して「開示ができる」と伝える方法が手っ取り早いといえます。
医師が自ら、カルテ開示を承諾すれば快く思っているということを理解して頂けるでしょう。

でも、カルテ開示などめったなことがない限り必要ない。
そう考えている医師も多いので難しいところ。
国の政策として「カルテ開示・セカンドオピニオンの普及」を行ってほしいものですね。

医者

情報共有ミスで患者を放置

ガンを放置したらどうなると思う?

医療業界の怠慢さが表だってしまったこのニュース。
2年以上もがん治療を放置し、リンパ節に転移してしまったという新潟県中央病院での出来事。

新潟県中央病院では、食道がんと判明した80代男性の治療が、2年5か月以上放置されていたことを発表しました。
この間、男性の食道がんは進行し、リンパ節にも手にしてしまっていました。

男性は入院し現在も治療を受けていますが、なぜ2年以上もの間放置されてしまったのか。
それは、内科医が主治医へ内視鏡検査の結果を情報共有できていなかったことが原因だと判明しています。

同じミスを立て続けに

この病院では2001年にも同じミスをしています。
しかもその時の患者は死亡してしまっています。

昔は、カルテはすべて紙でした。
病院によって、診療科別のカルテが存在していましたが、各診療科は自分の治療内容はわかるけど他の科はわからないという状況です。
薬の重複や同じ検査を繰り返すなどの問題が起こっていました。

法的な縛りでいえば、カルテの保管は5年間と決められており、5年が過ぎると破棄する病院もあります。
長く来院し続けている患者はかなりのカルテがあります。
そこで、電子カルテというものが登場し、今やその問題を解決してくれています。

とても便利な電子カルテというものが存在する今の時代。
どうして情報共有ミスが起こってしまうのでしょうか。

原因の根本を考える

その病院が紙のカルテなのか?
それとも電子カルテなのか?はわかりませんが、内科医が主治医に言い忘れたなんて、「同じ家に住んでいるのに、言い忘れてしまった」なんてよくある一般家庭で出来事のような軽さ。
あまりにも情報共有を怠っていたことの怠慢さが明るみになっています。

思い込みや、言い忘れ、度忘れ、「ちょっとしたミス」程度なら許されるかもしれません。
でも、医療業界では「ちょっとしたミス」で命を落としてしまう方もいます。
こればかりはミスという言葉では許されない出来事。

根本的な原因は、もはや「責任のなさ」しか言いようがありません。
一人一人、自分の仕事には責任を持つこと。
人の命がかかっているのだとしっかり理解すること。

初心を忘れずに、ただの流れ作業だと考えずに。
いつまでも人の役に立つ医療従事者として活躍していきたいですね。