薬

薬は転売しちゃいけません

何のための処方なのか

処方薬とは、お医者さんがその患者さんに合わせて「処方」したお薬のこと。
処方箋がなければ入手することができませんし、取り扱いをしている薬局も限られています。

調合しなければいけない薬は調合薬局でのみ取り扱っていますし、近くに調合薬局がない場合は、取り寄せる処方薬などもあります。
処方薬は、一般のドラッグストアやネット通販などでは購入することができません。
ですが、この処方薬を転売して儲けていたという事件があります。

処方薬を医師の許可なく販売したとして、無職の方が逮捕されています。
大阪府県警によると、容疑者は国民健康保険を使って、近畿の病院約164か所で受診。

処方箋をもらい薬局でぜんそく用の薬を購入し、転売していたそうです。
約5700個の薬を転売し、その利益は1千万円以上だとか。

集めた処方薬24個を医薬品販売会社に10万円で販売し、その言い分として販売ではなく容疑者の薬の余ったものを引き取ってもらったとして容疑を否認しています。
容疑者は実際にぜんそくの持病があり、受診、購入、転売を繰り返していた様子。

診察料と薬代のうち3割は自己負担分として自分で支払います。
ですが、7割は国保から出されます。

国民健康保険の加入は、国の負担や保険料などで賄われています。
主に、市町村が不正がないかを確認しています。
容疑者が保険料を納めていた大阪府松原市の担当者は個人の不正は想定外であったとして、再発防止策を検討する見込みをたてています。

昔からなくならない転売という犯罪

転売は昔からも行われています。
医療関係でも問題視されていることですし、一番多いのは眠剤系の転売でした。

一昔前には、眠剤系の1錠1万円もする薬を処方し、転売されたという事件があります。
処方される処方内容や残薬などは必ずチェックする、これは医療関係者としては当たり前のことです。

医療の現場では、個人の「残薬問題」が少なからず昔からあります。
残った薬をどうするか?もう捨てるしかありません。
でも、その薬を必要としている方もいる。

そう考えて転売をする方がいなくならないのです。
今回の事件の売り上げ1千万円はかなりの額ですが、余った薬をちょっと売るだけでも小遣い稼ぎ程度になりますからね。
絶対にまねしてほしくない犯罪ですが、もし薬を無許可で転売したら逮捕されてしまうのでご注意を。

医療

医療は日進月歩ですね

最新技術は素晴らしい

寝たきりや脳死で意識不明の方など、病気や障害のせいで自力呼吸ができずに、口から入れた管や、のどを切開して人工呼吸器をつけている患者さんは、たまった「たん」を自分で出すことができません。
時に、たんがでない人もいますが、絶対にたんは溜まっていくものです。

チューブを機関に挿入して痰を吸引する必要があります。
吸引する際には人工呼吸器を外すために、患者さんは苦しい思いをします。

そのため、吸引の際には手際よく作業しなければいけませんし、ちょっとでもミスをすれば患者さんの命の危険を及ぼしてしまう可能性があります。
これは、24時間体制で行わなければいけないケアです。

自宅で介護をする家族にとっても、これはかなり負担のかかるケアです。
夜中にたびたび行わなければいけないのは、睡眠を妨げ、忘れてしまうとのどに詰まらせ危険な状態になってしまうかもしれません。

そこで開発された機器が、呼吸器を外さずに痰を自動で吸引できる機器です。
九州保健福祉大学が開発を行い、研究グループが発表を行いました。

痰を自動で吸引できる仕組み

研究グループによると、センサーで痰の有無を自動判断し、中が2層に分かれているチューブを用いて吸引するとのものです。

2016年を目処に製品化を目指していて、患者と介護者、双方の負担軽減ができることが期待されています。
痰の自動吸引装置は、筋萎縮性側索硬化症の患者さんを対象に大分県の薬事承認を受けた企業が2010年までに製品化しています。
これまでおよそ850台が販売されています。

今回開発された装置は、どんな人工呼吸器にも対応していて、真空ポンプを使い個人個人の呼吸に合わせて無理なく痰を吸引することができます。
現在は、口からの管で開発を進めていますが、気管切開でも仕様が可能にできるように計画が進められています。

教授よれば、まずは病院に導入して、看護師に使い勝手を確認してもらったうえで、在宅でも使用できるようにしたいとのこと。
看護師から言わせていただくと痰の自動吸引など夢のような話です。
痰の吸引はとても大変なケアです。
しかも、かなり高度なテクニックが必要な行為のため、ベテランの看護師でも苦戦するほど。

今は呼吸器の管を通り吸引することができて、呼吸器を外さなくても良いというものが登場し、まだ楽になりました。
ですが、「自動で吸引」なんて素晴らしい機器だと思います。

患者さんのご家族も、在宅でケアをされている方も安心でしょうし、しっかり不良のないよう製品化され、世に広まってほしいですね。
こういった機器が次々と開発されると、時代の流れは素晴らしいと感じます。

ですが、医療の現場に勤めている者ならだれでも思うでしょう。
機器に頼りすぎてはいけない、と。

機器に頼りすぎて、機器なしでは看護することができないケアも多々あります。
何か起こったとき、機器なしでも治療や最大限のケアができるように、知識と経験だけは忘れず初心の心で看護をいっていきたいですね。
それと同時に、こういった発明はとても素晴らしいものだと思います。

交通

誰のための救急車なんでしょう?

救急車利用のモラル

救急車はどんな時に利用するのでしょうか。
皆さまは、実際に救急車を呼ぶ場面に遭遇したことはありますか?
>>神奈川県川崎市の救急車出動件数の6割は入院の必要無い軽症

救急車の出動が必要な状況と言えば、重症患者で搬送中にも治療やケアを行わなければ命が危ないという方に対して出動します。
特に、緊急性が高く大量に出血していたり、車で移動するのは危ないとき、重症なのに周りに人がいない、そんな場合で救急車を利用するのが正しいモラルです。

最近では、「深爪をして血がでている」「ちょっとめまいがする」「歯が痛い」「階段から転んですねに青あざができている」そんな場合でも救急車を出動させる、モラルのない人間が増えています。
多くの方は、本当に非常時以外は救急車など呼びません。

たとえば、爪を深く切りすぎて血が出たという方が救急車を呼び、出動したとしましょう。
そこで、1分後に駅で男性が倒れている、心筋梗塞だと出動要請があったとしましょう。

最低2キロ程度は消防署の位置が離れていますから、きっと倒れている男性のところに、もう1つさきにある消防署から救急車が出動したとしても、到着は5分程度遅れることになります。
3分で到着するところを、8分かかってしまうのです。

信号や渋滞なども、救急車は関係ありませんからね。
もしその倒れている男性が亡くなられてしまったら。
亡くなったのは誰が原因でしょうか。

10人いれば半数以上の方がこう答えると思います。
「爪を深く切りすぎたからと言って救急車を呼んだ人のせいだ」と。

モラルがないのはだれ?

利用する側のモラルも心配ですが、実は救急隊員にもモラルがない方がいらっしゃるようです。
こんな事件があります。

部下が昇任試験に遅刻しないように、必要のない作業を命じて救急車を出動できないようにしたという事件です。
大阪府で起こった事件ですが、当時の消防署の課長は懲戒処分となっています。

その日は、当直責任者として課長が出勤していました。
救急車を運転する男性職員が、勤務交代直前の救急出動で、9時半から予定されていた昇級試験に遅れてしまいそうでした。

そこで課長は、別の職員に30分間救急車の消毒をさせ、救急車が出動できなくしたそうです。
その間に、500メートルほど離れた場所で急病による出動指令がありました。
通常なら3分で到着しますが、別の救急車が出動し、到着に5分かかったそうです。

到着した時にはその男性は心肺停止状態。
AEDを使い救命を試みた後だったそうです。
男性は同じ日搬送先の病院で死亡が確認されました。

皆さまはどう思われますか。
「たった2分遅れただけならモンダイなし」でしょうか。
それとも、「もし出動していたら男性は助かったかもしれないのに」でしょうか。

この事件は、明るみになり、「部下に安心して試験を受けさせたかったから」と話したそうです。
ですが、組合は「通常通り出動していても影響は出なかった」と話しています。

つまり言い換えればこうです。
「どうせAEDを使用した後で、僕の消防署から救急車が出動していて3分で到着していたとしても、結果は同じだったでしょうに」

これぞまさに、開き直りです。
何を根拠にそんな無責任なことが言えるのでしょうか。

部下はきっと、昇任できたとしても一生後悔するでしょう。
課長の判断により、多くの人間を不幸にしたのです。

医療の現場で、しかも救命の現場で、こんなことが起こっていいと思いますか?
利用される方のモラルにも課題が残っていますが、救急車を出動させる側のモラルにも問題が山積みです。

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